心理カウンセラーのリエコです。
今日は『ココロノマルシェ』に寄せられたご相談にお答えしたいと思います。
根本裕幸カウンセラーの「お弟子さん制度」を卒業したカウンセラーが、寄せられたご相談にお答えする、お悩み掲示板です。
+++【ご相談】+++++++++++++++++
母親との関係について
母親に親身に相談に乗ってもらった事や、励ましの言葉を貰ったこと、大丈夫よ。など、背中を押された事等が一切ありません。
否定や注意、些細な事でもヒステリーチックに怒られたり、私がお付き合いする人を詮索し、別れさせるような発言をされ、
私は怒りや絶望感を覚える事が多かったです。
家族っていいなぁ、温かいな、安心するなと
思った事は無く、常に不安で苦痛で、実家に居る頃は、母親の性格が変われば、、もしこの人が母親でなければ、、周囲の友達の母親は優しくて、温かくて羨ましいな。とばかり思いながら過ごしていました。
実家を出て一人暮らしを始めてからも、アレはダメ、コレはダメ、実家に帰ってきなさい。などメール上でも支配されています。私にも否があるのかもしれませんが、私の事を尊重したり、受け入れて貰えた記憶がありません。母親というのはこんな者なんでしょうか。どうすれば母親という存在に悩まず生きていけるのでしょうか。
どうせなら、もう私に関心を向けて欲しくないです。
from まぁさん
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まぁさん、はじめまして。
心理カウンセラーのリエコです。
お母さんって、いつまでたっても特別な存在ですよね。
身近な大人のケアなしでは生きられない”産まれてすぐの赤ちゃん”にとって、
お母さんから愛されることは命をつなぐこと。
そう考えると、
「お母さんの愛情を感じたい」とか
「家族の輪の中でホッコリとした安心感に包まれたい」という想いは、
人間の本能に近いものなのかもしれません。
また、幼い子供は、身近な大人と価値観を共有していきますから、
お母さんのことを「万能な存在」のように思いがち。
自分の命を支えてくれる、偉大で強くて優しい存在。
正しい道を示してくれる模範的な大人。
お母さんの言うとおりにしていれば安心だ。
といったような。。
これもまた、
私たちが無意識に備えてしまった感覚なのかもしれません。
母親に親身に相談に乗ってもらった事や、励ましの言葉を貰ったこと、大丈夫よ。など、背中を押された事等が一切ありません。
私は怒りや絶望感を覚える事が多かったです。
「母親に求めているもの」や「得られると思っていたもの」が得られなかったのですから、怒りや絶望感を感じてしまうのは当然ですよね。
でも、自分が大人になって、
「当時の母親」の年齢に近くなってくると、
なんとなく気づいてくるんです。
お母さんも、普通の人なのだということに。
母は強くも正しくもない、普通の人だということに。
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実家を出て一人暮らしを始めてからも、アレはダメ、コレはダメ、実家に帰ってきなさい。などメール上でも支配されています。私にも否があるのかもしれませんが、私の事を尊重したり、受け入れて貰えた記憶がありません。
まぁさんが、お母さんに対して不満を抱き続けていること。
それは、まぁさんが今も「子供ポジション」にあることを示しています。
実家を出て一人暮らしを始めて、自分らしく生きられる環境にいる今も、「母親の存在に翻弄されていること」への違和感。
それはまさに、大人である今も「子供ポジションに在ること」への違和感なのだと思うんです。
今回マルシェにご相談くださったのは、
まぁさんとお母さんとの関係が
「親と子」の関係から
「大人同士」の関係に
シフトするタイミングだからなのかもしれません。
ここでいう「大人同士」の関係とは、
ざっくり言うと
「お母さん」に向いている意識を「自分」に向けることであり、
「誰かに与えてもらう」意識から「自分が与える」意識をもつことです。
これまでのまぁさんは、
母親に「母親の価値観」を押し付けられることが多かったのだと思います。
でもそれは、ある意味では
「母の価値観に守られてきた状況」だったのだと思うんです。
まぁさんの欲しい”守られ方”ではなかったにしても。。
そのスタイルから抜け出すためには、
お母さんと自分との間に「境界線」を引き、
境界線の内側に、
自分らしさ(自分軸)を育て、
自分の価値観で生きていくことが必要になります。
そして、欲しいものがあれば、
「与えてもらう」のではなく
「自分で与える(満たす)」マインドを備えていきます。
お母さんから与えてもらいたかった、
「親身に相談にのってもらうこと」「励ましの言葉」「大丈夫よ、と背中を押してもらうこと」「温かさ」「安心感」「自分を尊重し、受け入れる事」
これら全てを、自分で自分に与えるんです。
そのためには、自分の中に「自分の味方」を育てていくことがキモになります。
● 困ったことがあれば、親身になって自分に寄り添う自分。
● 元気のない時には、あたたかい気持ちで接して安心感を与えてくれる自分。
● お母さんの関心を鬱陶しく感じた時には、その気持ちを尊重し、自分を大切にする選択に背中を押す自分。
そんな自分を、自分の中に育てていきます。
まぁさんが新しいマインドを育てる最中も、
お母さんのマインドは変わらないまま。
なので、
定着するまでは、
お母さんの声はたびたび境界線を越えてくるかもしれません。
そんな時には
「私は私、母は母」と唱え、
その都度境界線を引きなおし、
自分軸を取り戻していきます。
トライ&エラーをしながら、
ぜひ新しいマインドを育ててみてくださいね。
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その上で、「大人の視点」でお母さんと接してみませんか?
お母さんのことをよく知り、
新しい「大人の関係性」を築くために、です。
ここから、少しだけ私の体験を踏まえ、
2つの視点をご紹介したいと思います。
1つ目。
「そうなるにはそうなる理由がある」という言葉があります。
私たちが知る「お母さんの人生」って、私たちが産まれて物心ついた頃以降の人生なんですよね。しかもそれは「子供の目線」です。
私たちが自分が物心つくまでの数十年間を含めた「お母さんの人生」を、
「大人目線」で見てみたら、
どんなことが見えてくるのでしょう?
機会があれば、お母さんがどんな子供時代を過ごしたのかを探ってみてはいかがでしょうか。
私の場合は、その視点を持った時にとても納得がいったんです。
母自身も甘えられない環境で子供時代を過ごした人であり、
「甘え方も甘やかし方も知らない人だった」ということに気付けたからです。
それを知ったら「仕方がなかったんだな」って思えました。
私は”欲しいカタチの愛情”を得られない子供時代を過ごしたけれど、
でも、当時の母にとっても「それが精一杯」だったんだなと理解できたからです。
まぁさんには、どんな景色が見えましたか?
そして、どのように感じられたのでしょう。
無理に納得する必要はないけど、
自分の知らない「お母さんの世界」があったことに気付けると、
視野が広がって、
この課題をこれまでよりも大きな気持ちで捉えられるようになります。
2つ目。
少し視野が広がると、こんな見方もできるようになります。
「お母さんは、自分がそれまでの人生で培ってきた価値観で、子供を守ろうとしたのではないか」という見方です。
お母さんは、自分の価値観(成功法則)をまぁさんに当てはめて、
危ない目にあわないように、
困ったことにならないように、
まぁさんを守っていたのかもしれません。
もしそうであれば、
お母さんも自分自身に対して、
まぁさんにするのと同じように接しているのかもしれません。
「否定や注意、些細なことでもヒステリーチック怒られたり」
「自分のことを尊重したり、受け入れて貰えた記憶がありません」
自分自身に対してそんな風に接している方だから、
まぁさんに接する時にも、
自然にそんな接し方をしてしまうのではないでしょうか。
もしもそうなら、
とても生きづらいこととは思いますが、
お母さんにとってはそれがある意味「最善」なので、
まぁさんに対して「自分の最善」で接しているというのは、
それがお母さんなりの愛情表現ということになりますね。
まぁさんが欲しい「母の愛し方」ではないかもしれないけど。。
以上、2つの視点をご紹介しました。
大人の目線でお母さんを眺めてみて、
まぁさんはどのように感じられたでしょうか?
お母さんを理解することは、先ほどお伝えした「与える意識」につながります。
「大人同士の関係」に向かうステップの1つとなりますように。
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「子供ポジション」から「大人同士の関係」にシフトするって、
とても大きなマインドチェンジです。
「価値観を分かち合っていた状態」から、
「お互いに別々の価値観をもつ関係性」に移行するのですから、
強い心が必要になるし、
しばらくは気持ちが行きつ戻りつしてしまうことと思います。
なので、そんな時のために、
● 私とお母さんにとっての”心地よい関係性”はどんな感じだろう?
● 私とお母さんの”ベストな距離感”はどのくらいだろう?
といったビジョンを備えておくといいかもしれません。
迷いが生じた時には、ビジョンを思い出して、仕切り直しをしていきます。
それを繰り返すうちに、自分なりの体感が育ってくるはずです。
トライ&エラーしてみてくださいね!
でも、ひとりで難しいと感じた時にはカウンセラーを頼ってみてください。
お母さんに振り回されることが減り、
大人同士の新しい関係性を築いていけますよう、応援しております!
心理カウンセラー リエコ