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心理カウンセラーリエコのブログ

仕事のできない上司にイライラが抑えられない[ココロノマルシェ]

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カウンセラーのリエコです。

今日は『ココロノマルシェ』に寄せられたご相談にお答えしたいと思います。

ココロノマルシェとは

根本裕幸カウンセラーの「お弟子さん制度」を卒業したカウンセラーが、寄せられたご相談にお答えする、お悩み掲示板です。 

+++【ご相談】+++++++++++++++++

過去の自分と似ている上司

こんにちは。

私の上司は、仕事ができません。
ミスは驚くほど多く、指摘しても直らず、ミスをしにくい体制をつくってみても無駄で、ホウレンソウもできません。
そのフォローのため、終電まで残ったり上司のミスであちこちから怒られたりしています。

ついキツく指摘してしまうのですが、萎縮させてしまい、さらにミスが増えています。
それが余計に腹が立ってしまうのですが、
その姿、前職の私にそっくりなのです。
覚えも要領も悪く、萎縮して仕事ができない。それを怒られ、顔色を伺い動けなくなる。
身に覚えがありすぎて、当時嫌いだった怒ってばかりの先輩方の気持ちが笑えるほどわかるようになってしまいました。

怒っていた人たちの気持ちがよくわかります。迷惑ですもの。
キツく言ってしまうことに罪悪感はあります。でも、怒りが抑えられないんです。

過去の自分を見せられて、私はなにをすれば良いのでしょう。
ストレスがたまって、どうにかなりそうです。
どなたかお力をお貸しくださいませんか。

from キットさん

+++++++++++++++++++++++++++++

 

キットさん、初めまして!

心理カウンセラーのリエコです。

 

上司のために、ミスのフォローをして、残業して、怒られて。。

それはしんどいですね。

その上、「ミスをしにくい体制」まで作ったのに状況が変わらないんですもの、それはきつい口調にもなりますよね。

 

でも、キットさんが一番しんどく感じているのは、上司が「前職の私にそっくり」なところにあるのかもしれません。

上司に「昔の自分」を重ねて嫌悪感が引き出されてしまう一方で、

キツく指摘することで萎縮しさらにミスが増えてしまう「上司の心情」も痛いほどわかってしまうこと。

そして、わかっていてもイライラが抑えられず、キツく接してしまうこと。。

 

しかも、相手は立場上「上司」ですものね。

キツく指摘するたびに「上司に対してこんな態度をとってしまった・・」という罪悪感もあるのかもれません。

 

 キットさんが「上司が前職の私にそっくりだ」と気づいたこと、とても大きな気づきだと思うんです。

過去の自分を見せられて、私はなにをすれば良いのでしょう。

今回ご相談くださったのは、「過去の自分を見せられている状態」がキットさんにとって何かしら意味のあることだと感じているからではないでしょうか?

そこで、「この状況はキットさんに何を伝えようとしているのか」という視点で、この問題を見ていきたいと思います。

 

         *****

 

  キツく言ってしまうことに罪悪感はあります。でも、怒りが抑えられないんです。

心理学の言葉に「怒りは感情の蓋」というものがあります。

「怒り」とは何かの感情を感じないために起こるもので、その裏側には「感じたくない感情」が潜んでいる、という意味です。

もしも「感じたくない感情」があるとしたら、キットさんはどんな感情だと思いますか?

ご相談文を読ませていただいて、私はキットさんに「自分を責める気持ち(自己嫌悪)」があるのかなと感じたのですが、いかがでしょうか?

 

 覚えも要領も悪く、萎縮して仕事ができず、それを怒られ、顔色をうかがい動けなくなる。。

キットさんにとって、それはとても苦しく、忘れ去りたい過去なのかもしれません。

それを上司が見せてくるのですから、「上司への怒り」に「自己嫌悪」が加算され、そのイライラは相当大きく膨らんでいるのではないでしょうか。

 

でも、ちょっと思い返してみてください。

「過去のキットさん」は、いい加減な気持ちで仕事をしていたのでしょうか?

一生懸命やって、それでも仕事が今みたいにこなせなくて、怒られないために必死でもがいていたのではないですか?

器用にこなせなくても、きっと「あの時の精一杯」で仕事をしていたんですよね。

そして、覚えも要領も悪く、怒られて萎縮して、人の顔色をうかがい動けなくなっても、諦めることなく頑張り続けてきたからこそ、今のキットさんがある。。

そう思うと「頑張り続けてくれて、ありがとう」なんですよね。

 

上司がキットさんに「過去の自分」を見せてくるのは、キットさんが「過去の自分」を嫌悪していることを知らせるためなのかもしれません。

そして「過去の自分」との仲直りの機会なのかもしれませんね。

 

もしも上司にイライラしてしまった時、

上司の姿に「過去の自分」を映して自己嫌悪しそうになった時には、

視点を「過去の自分」から「今の自分」に変えて、

「こんなにも成長できた私」を讃えてみるのはいかがでしょうか?

そして「頑張り続けてくれた自分」への感謝を思い出してみるのはいかがでしょう。

それで怒りが収まる・・とはならないかもしれないけれど、

過去のキットさんが癒されることで、上司へのまなざしがちょっと変わるかもしれません。

 

        *****

 

 ご相談文をよませていただいて、キットさんてとても責任感の強い方なのだなぁと感じたんです。例えば、こちら。

ミスは驚くほど多く、指摘しても直らず、ミスをしにくい体制をつくってみても無駄で、ホウレンソウもできません。
そのフォローのため、終電まで残ったり上司のミスであちこちから怒られたりしています。

部下として「上司を支える」という役割をしっかりとこなされていることがうかがえます。

 

でも、職場の様子がわからないので一概には言えないところですけど、これってキットさんの負担が大きすぎませんか??

 

キットさんは、上司のフォローについては、もう既に「自分にできること」をやってこられていますよね。

なのに依然として業務に支障が出ているわけですから、本来であれば状況改善を求めて”しかるべき立場”の方に「相談」なり「お願い」をしてもいい状態だと思うんです。

でも、キットさんのご相談文を読んでいると、上司の負担を「自分ごと」のように背負っているようにも見えてしまって。。

自分ひとりで背負うことで「自分を追い詰めている状態」にあることも、

「ストレスがたまって、どうにかなりそう」な要因のひとつにあるのではないでしょうか?

 

そうなってしまうのは、

「直属上司のサポートは、部下である自分の役割だから」という責任感の他に、

「上司にきつく当たってしまったことへの補償行為」もあるかもしれないし、

上司の姿に「過去の自分」が重なって他人事じゃなくなっているのかもしれないし、

「昔の自分」を救っているような気持ちもあるのかもしれませんね。

 

また、こうした状況は「能力が高く、面倒見の良い人」が陥りやすいんです。

自分の余力を、困っている人に注いでしまうんですね。

キットさんにも当てはまりそうです。

 

でも、現状「あちこちから怒られる状況」が続いているなら、それって、厳しいことを言うようですが、キットさんひとりではカバーしきれていないということですよね。

そして実際、上司は「部下のフォロー」という役割も果たせていません。

会社のためにも、体制を整え直すことは益を生むことにつながりそうです。

 

そういう意味では、

今回の出来事がキットさんに何か必要なことを教えてくれるだとしたら、

「線引きを覚える」ことを学ぶ機会なのではないでしょうか?

それは一言で言うと、「全てを自分が背負うのではなく、自分ができることはやり、できないことは人に頼る」ということです。

 

 

今回の件でいうと、具体的には、

●業務を「自分に与えられた仕事」と「上司のフォロー」とに分け、フォローの部分に関しては「ここまでお手伝いできたらヨシとする」という線の引き直しをする、とか。

●仕事の全体量をみて「自分にしかできないこと」と「自分じゃなくてもできること」とに分け、お願いできるものは誰かを頼る、とか。

●「上司のサポート業務」について、自分ひとりではこなしきれない現状を”しかるべき立場の方”に伝え、サポート人員を増やしてもらう、とか。

 

責任感の強いキットさんには、なかなか苦行かもしれません。

「上司のサポート」という自分の役割を、余力の有無にかかわらず、部分的に「誰かに委ねる」わけですから。。

なんだかサボっているみたいな気持ちになりますもんね。

心苦しくなって、つい「自分がやってしまった方がラクだ」と考えてしまうかもしれません。

 

ここで必要になるのが「自分はどういう風に仕事をしていきたいか」というビジョンと、その自分を支える「自己肯定感」です。

●キットさんの理想の「仕事&プライベートのバランス」は?

●どんなペースで仕事を進めていくのが理想ですか?

●プライベートの時間はどんなふうに過ごすのが理想?

これらの理想が叶ているところ、ズレているところなど、改めて見直してみるのはいかがでしょう?

 

もう、ひとりでどうにかしようとせず、誰かに頼ってもいいのではないでしょうか?

そして、自分らしく仕事ができる環境を、自分の意志で作っていくこと。

この問題は、それらを学ぶ機会なのかもしれません。

 

        *****

 

上司もいつかキットさんと同じように、過去を振り返って、今のキットさんの状況が痛いほどわかる日が来ると思います。

そして、キットさんが全力でサポートしてくれたことに感謝するに違いありません。

キットさんの仕事生活が、今よりもっと自分らしく、楽しくなりますよう、応援しております!

 

 

心理カウンセラー リエコ

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