カウンセラーのリエコです。
今日は『ココロノマルシェ』に寄せられたご相談にお答えしたいと思います。
根本裕幸カウンセラーの「お弟子さん制度」を卒業したカウンセラーが、寄せられたご相談にお答えする、お悩み掲示板です。
+++【ご相談】+++++++++++++++++
声が耳障りな人への対処法~職場内の今更言えないモヤモヤ問題~
従業員50名程度のオフィスで働くアラフィフ総務です。
コロナ禍でリモートワークが推奨され、出社人数はずいぶん減り、最近は20~30名程度がソーシャルディスタンスを保って働いています。
オフィスはフリーアドレスなので自由な席に座れるのですが、私たち総務は固定席から動けません。
そんな環境での困りごとです。
ディスタンスを乗り越えてくる声。
職場の40代後半男性の声が、申し訳ないけれど・・大変耳障りなんです。
「ボリューム・テンション・トーン・スピード」どれかひとつでいいから下げてほしい。
悪い人ではないんです。でも彼が電話しだすともう耳と脳みそすべてを持って行かれて業務に集中できません。計算や照合といった細かい作業のときは特に苦しい。心を無にできません。席を移動できないのがもどかしい。遠くに座ってくれた日はほっとします。
もう何年も経ってしまっているので今更言いづらくて。
昔は耐えられたのに今無理なのは、自分自身の加齢による我慢力の低下とコロナで知った静寂のためと思われます。いつか言ってやりたいと悶々と機会をうかがう日々・・。
声のほか、柔軟剤や香水の過剰な香り問題など、職場内あるあるな「言い出しづらい案件」への対処法、ご伝授いただけませんでしょうか。
from もちこさん
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もちこさん、はじめまして!
心理カウンセラーのリエコです。
音の問題・・気になりますよね。
集中力を要する作業においては、なおさらだと思います。
その音に意識を奪われることで集中力が削がれ、仕事の効率も下がり、「静かだったらサクサク進むのにー!」ってイライラが募る。。
でも相手の人に対して「悪い人じゃないし」「悪気があってのことじゃないし」と思うと言い出しづらく、タイミングを逃しながら時間ばかりが過ぎていく。。
この状態がいつまで続くのか、いつまで我慢すればいいのかわからない。。
もちこさんのモヤモヤは、時間とともに雪だるま式に膨れ上がり、我慢も限界・・といった感じなのかもしれません。
こうした「言い出しづらいこと」をサラッと上手に伝えられる人も稀にいますけれど、上手く伝えられなかった場合の、その後の人間関係や職場の空気、自分の居心地などを考えると、とてもリスキーなチャレンジであり、簡単なことではありませんよね。
実際のところ、もちこさんの「耳障りな声をどうにかしてほしい」「静かな環境の中で仕事をしたい」という願い、はたまた「過剰な香り」「清潔感」といった言い出しづらい案件の具体的な対処法としては、
やはり「本人に伝える」か「上司に相談し対応を委ねる」かしかないように思います。
でも、それによって状況が改善されるとは限りません。
こちらの希望を伝えることはできても、それを相手がどのように受け取り、どのような対応をするかは、相手次第ですものね。
私たちは、自分以外の人をコントロールすることはできません。
なので、できることをやって、あとは神様におまかせするしかないのです。
「そんなことは、言われなくてもわかってるんですー!」ってお話しですよね。
だから困っちゃってるんですものね。。
もちこさんが求められている得策をご提案できず、ゴメンナサイ。
そこで、私からは、現実的なお話から少し離れるかもしれませんが、
「もちこさんに、なぜこの問題がおきたのか?」という観点から、この問題についての新しい見方を2つお伝えしてきたいと思います。
「神様は越えられない壁は与えない」といいます。
であれば、この問題は「単なる困りごと」ではなく、
もちこさんに「何か必要なこと」を気づかせるために起きていることなのかもしれません。
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1つ目は、この問題を「主体的にとらえる」という視点です。
ご相談文を読ませていただいて私が感じたのは、もちこさんが「問題」にすっぽりと包まれてしまっていることでした。
そういうとき、私たちは「被害者」の視点になりがちです。
●仕事に集中できないのは、声に意識を奪われてしまうせいだ。
●ボリューム・テンション・トーン・スピード、どれかひとつでいいから下げてほしいのに(下げてくれない)。
●私は席を移動できないのだから、遠くに座ってくれればいいのに。
どうにもならない状況を前に、打つ手がないと、どうしても「受け身」になってしまうのですよね。
そしてそれは「相手に変わってもらうことで状況を変えたい」という発想に向かいます。いわゆる「相手軸」です。
でも、先ほども言いましたが、残念ながら、私たちは自分以外の誰かを変えることはできません。
変えられるのは自分だけなのですよね。。
なので、ここで視点を「相手のせいだ(相手軸)」という受け身な姿勢から、「自分はどうしたいか(自分軸)」という主体的な姿勢にシフトチェンジしていきます。
今回のケースですと、もちこさんにとって「仕事生活の中でいちばん大切にしたいこと」は何か、について考えてみるのはどうでしょう?
●仕事でよい成果を上げること
●よい環境で仕事ができること
●仕事仲間との良好な関係
●業務効率の向上
それがわかると、「いちばん大切にしたいこと」のために、今回の問題とどう向き合っていくかを考えたり、行動できたり、要は「主体的に動くこと」が出来ます。
例えば、具体的に言うと・・
もしも「仕事仲間との良好な関係」がいちばん大切であれば、直接的な働きかけは控えることになるかもしれませんね。でも、「一番大切なこと」がわかると、その大切なことを守るために、もちこさんにできる行動(男性が電話を始めたら場を離れる、考えなくてもできる仕事に切り替える、など)を選択できるようになります。
一見、外側からは何も変わらないようにみえるかもしれません。
でもこの「直接的な働きかけを控える」という選択は、「我慢を強いられている状態」ではなく、仲間とのつながりを大切にすることを選択したもちこさんの「思いやり」であり、
「相手の声に振り回されている受け身の態度」ではなく、「自分が大切にしたいことを守る主体的な態度」です。
もしも「仕事の効率」がいちばん大切なのであれば、効率を下げてしまうその「声」を改善してもらうべく、本人に働きかけたり、上司に相談して対応をお願いするなど、具体的な方法をとっていくことになると思います。
できるだけ上手に伝える工夫や努力はしていかれることと思いますけど、残念ながらお相手との関係に支障がでてしまっても、もちこさんがいちばん大切にしている「仕事の効率」が守られる状況に1歩近づきます。自分が大切にしていることのために「必要な働きかけをした結果」であれば、その状況に今より納得ができるはずです。
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2つ目は、「投影」という視点です。
ざっくり言うと、「自分の内側で起きていることが、外側に反映されている」という見方です。
例えば、です。
今回の問題(外側で起きていること)でいうと、
もちこさんが「相手の方に対して感じる感情」の中に、こういった感覚はありませんか?
・周りの人に迷惑にならないよう配慮するべきなのに。。
・あんな大きな声で話したらみんなの仕事の妨げになるってこと、普通は気づくよね?
もちこさんは日常的にその「男性の声」に悩まされているんですもの。こんな気持ちになることもあるだろうと思い、例えに挙げさせていただきました。
もし仮にそういう気持ちがもちこさんにあったとして、
それを「外側に反映されている事象」と捉え、それが「もちこさんの内側で起きていること」であるとした時、
もちこさんが男性に対して投げかけている「〇〇するべきなのに」「普通は〇〇するよね」といった言葉を、自分自身に対しても投げかけていませんか?
「〇〇するべきなのに(できなかった)」と自分で自分を責めたり、「普通は〇〇なのに(私はそうではない)」と、誰かと自分を比較して、自分に厳しい目を向けたりすることはないでしょうか?
もしも今回の出来事が、もちこさんに「何か必要なこと」を気づかせるために起きているのだとしたら、
「そんなに自分を責めないで」
「自分のことを許してあげてね」
「もっと自分に優しく寄り添ってあげてもいいんじゃない?」
というメッセージを伝えてくれるものだったのかもしれません。
また、同様に、もちこさんが男性に対して「悪い人じゃないしね‥」とこの状況を理解し許してあげられたのだとしたら、
「もちこさん自身も、もちこさんを理解し許しを与えてくれている環境の中にいる」ことを伝えてくれる出来事だったのかもしれません。
自分の姿って、自分ではなかなか見えにくいものです。
このようにして、外側の事象を「大切なこと」や「必要なこと」を気づかせてくれるきっかけにできたらいいですね。
以上、若干キレイゴトも混じりましたが(!)2つの視点をご紹介しました。
もちこさんにとって納得のいく解決方法が得られますよう、また、状況が少しでも改善されますよう、お祈りしております!
心理カウンセラー リエコ